数年前に読んで感動した話です。
押入れから本が出てきたので
少し紹介します。
建設関係の中小企業に勤めてる
24歳の男性社員のA君の話です。
彼が務めている会社のそばに、
最近とてもきれいな居酒屋が出来た。
その居酒屋にはA君も飲みに行くけれども
銀行や大きな会社の若い社員たちがやってくる。
若い世代だから気軽に声をかける。
そのうち、男性から女性へ
「君の携帯の番号教えてよ」ということになる。
そうして、親しくなってくると
女性の側から男性の側に、
どこに勤めているのか、会社はどこかと質問してきます。
こんな時一部上場の大企業に勤めている新入社員はどうするか?
おもむろに名刺を取り出し、
「ここに勤めているから、近くを通りかかったら
寄ってみて」となるのです。
ところが、A君のような中小企業に勤めている連中は、
なんと答えるか?
彼らは、照れくさそうに頭に手をやって答えます。
「ちょっとね・・・・」
「このちょっとね」というのは、
実は若者同士の暗号で
「これ以上聞いてくれるな」という意味なんだそうです。
だから、女の子としては、相手が頭に手をやって
「ちょっとね」と言ったら
(これは、触れてはいけない話題に触れてシマッタンダ。ゴメンなさいね)。
と心の中で納得して話題を変えるのです。
ここまでは、少々暗い話ですが、
A君の話には、まだ、先があるのです。
中小企業に勤めている仲間の多くは、
そうやって名前を伏せてしまうけど、自分は違う。
「ボクは、○○建設の工事課のAです」
という風に胸をはって答えるそうです。
そうすると どうなるか、周りの視線が彼に集まり、
一瞬、彼のいるテーブルがシーンとなる。
しかし、Aは、ひるまない。
シーンとした後で周りの女の子の目を見ながら
「ね、知っている?ぼくの会社」「知っている?」と
順番にきいてまわるそうです。
さて、そうすると、どうなるでしょう。
聞かれた女の子たちが、大変微妙な顔をするそうです。
つまり、知っていると言ったらウソになるし
知らないと言うと気の毒だし。
ということで返答のしようがないわけです。
しかし、ここで終わりではないのです。
A君はそういった後、こう付け加えるんだそうです。
「そう、知らないだろう。 知らなくていいんだ、
このおれが知っているんだから、
おれが知っているイイ会社なんだから、
そのうち、きっと君たちにも知ってもらえる会社になるはずだから」と、
すると、どうなるか、もう一度シーンとする。
一同唖然といったところでしょう。
ところが、思いがけないことが起こりました。
さっきまで名刺を配っていた大企業に
勤めている新入社員が、A君の目をじっと見ながら。
パチパチと大きな音を出しながら拍手をしたそうです。
その拍手につられるかのように女の子たちも拍手をしてくれました。
後日、大企業に勤めている人が、こう言ったそうです。
「君は、うらやましいな。おれは入社して
間もなく一年になろうとしているけど、
実は大しておもしろい仕事をしているとは思えない。
君はいいよね。入社三年目で自分と同い年だけれど、
誰が知らなくてもおれが知っているイイ会社に勤めている。
そういう誇りをもって話ができるなんて」
その後、二人は、何度か飲みに行って、
大変イイ友達になったそうです。
じゃんじゃん。 長文にお付き合いいただき
ありがとうございます。o(^-^)