脚本家の小山薫堂さんをご存知ですか?
最近は、 BS FUJI で『東京会議』なんて
不思議なTV番組にも出演してます。
サービスに関するエッセイには、秀逸なものがあります。
そのエッセイの中で私が好きな話を1つ、
ここで紹介させてください。
小山さんが料理評論家の山本益博さんを
軽井沢の蕎麦屋『東間』(とうま)に案内した時の話です。
小山さんは何度も通っている店なので
「いやっ、ホントおいしいなあ。素晴らしい」とか言って
はしゃいでいたそうです。
ところが、山本さんは一言、
「いい包丁使ってますね。蕎麦の角が立っている」
、、、、
すると店主が
「ついに褒めて欲しいところをわかっている方に出会えました」
と握手を求めてきたそうです。
店主の気持ちが一気に山本さんに傾きました。
小山さんも悔しかったけど、思わず感心してしまったという話です。
上手に褒めて料理人を乗せることも上客になるコツらしい。
さて、ここで少し話が変わりますが、
以前、居酒屋『籠太」さんが『日本の居酒屋100選』に選ばれ
CSの番組で紹介されることになりました。
番組が放送された後、収録ビデオがお店に送られてきました。
日中、ある用件があり、『籠太』さんを訪れると
親父殿と女将さんが、カウンターに
テレビとデッキを持ち込み、その番組を見ていたのです。
1回の番組で3つのお店を紹介していたのですが、
他のお店のところで、女将さんが、
お皿に盛りつけされたお料理を見ながら、
「あら、この人、いい包丁使ってるわ・・」
みたいなことをぽつりと、つぶやいたのです。
この時、山本益博さんのそば屋での話を思い出し、
籠太の女将さん、!恐るべし!!と思ったものです。
中町ホテルから徒歩7~8分のところにある
会津居酒屋『籠太』。かなりのお店です。
是非、カウンター席に彼女と座って、
親父殿を褒めて、乗せてあげてください!
たまに、駅前ホテルでお客様が
お出になったツインのお部屋などに入ると
エアーサロンパスの残り香がしたりする。
おそらく、前日は、磐梯登山でも行かれた
ご夫婦なんだろうな、なんて想像してみたりする。
駅前のホテルは、電車でお越しになった方を
対象に八方台までの送迎をする
磐梯登山をサポートするプラン、
中町だったら、鶴ヶ城までの早朝ジョグを
サポートする、(シューズなどのレンタル)の
プランがあったらイイだろうな。。
プラス付加価値をどうしようか、
そして、もう一味、面白さが欲しいところだ。
実現できるかどうかは、別に
ブレインストーミング的に考えてみました。
登山プランでは、傷害保険付にして、
加入特典として、酸素缶とか
食べる酸素をプレゼント。
山頂から写メを送っていただいたら、
磐梯登頂証明書を作成して、
後日、郵送するのも面白い。
どこかの美味しいパン屋さんか、
お米の美味しいおにぎり屋さんの
ランチボックス付も喜ばれそう。
でも、往復送迎だとコスト的に負担が
大きくなるので、やっぱりレンタカーを
ご利用いただくようにした方が、
より現実的かも。。
早朝ジョグプランでは、
国産のふわふわのタオルのご用意の他に、
『グリーンスムージー』をプレゼント。
帰ってきたら、お部屋でストレッチが
出来るマットの貸し出しも
気がきいたサービスですよね。
いずれにしても、当地でのスポーツを
サポートする宿泊プランなどは、
我々、宿泊特化型のホテルの開発できる
領域だと思っています。
コンサルタントをしている友人の話、
ものつくりの世界では、プロダクトアウトか、
マーケットインの発想か?とよく論じられます。
友人が主催する後継者を集めた勉強会で、
会員達も東日本大震災の被災者に
何かをしてあげようということになりました。
会員の中にパン屋さんがいれば
店のパンを40万円分持ってゆくという人もいます。
洋服やさんは、お店の商品を持ってゆくという人もいます。
しかし、よく考えてみればそれらは、
すでに充足しているのかもしれません。
そこで彼らは、実際に被災者に対し何が出来るのか?
何を欲しがっているのか?を現地に赴いて
尋ねてみることにしました。
結果、現段階では、何かを提供して欲しいというよりは、
彼らのしたいことをサポートしてあげることが
最良の手助けになることに気がつきました。
彼ら会員の面々は、多種多様な
業種の集まりであり、自分ができなくても
それを実行できる人脈を持っているのです。
さて、ここからコンサルタントの話になります。
被災地にも、飲食業を営んでいた人がたくさんいました。
地元の飲食業組合には、30件も所属していました。
しかし、営業できるところは、わずか5件しか
残っていなかったそうです。
じっくり話を聞いてみると、
店を失ってしまった人たちも、もう一度、
飲食店を再開したいという強い希望が持っていました。
コンサルタントの友人は、彼らの再起を図るため、
飲食店の復興屋台村を立ち上げる事を提案。
無償にて、活動を支援しました。
運営の為の組織を作り、規約作りから始めます。
東京に住む彼は、一月のうち3日現地に足を運び、
その活動に費やしました。
そのうち、飲食店の経営者達から
無償ではなくて、もし利益が出るようになったら
正式にコンサルタントとしてフィーを払わせて欲しい、
そして、これからも面倒を見てほしい
と申し出があったそうです。
本人にとっても予想外の展開でした。
その事例を通して、コンサルタントは、
本来の商売のあり方をもう一度、
見直すきっかけになったと言います。
つまり、こちらが一方的に、
こんないいものがあります。
こんないいものが出来ました。
これが必要でしょうと持ち込んだところで
果たして、それは、本当に受け入れられるのだろうか。
ひょっとして自己満足に過ぎないのかもしれない。
相手が本当にして欲しい、手にしたいものであれば
相手は、対価を支払ってでも
お願いしてくるものかもしれない。
商売とは、本来そういうものであったはずだ。
それが、いつのまにか
変質してしまったのかもしれません。
コンサルタントの友人は、
被災地へのボランティアを通して、
商売の本質をもう一度見つめなおす
ことが出来たという話です。
身につまされる話でもあります。
いつも私共のホテルを気にかけていただいて
サービス向上のためのヒントを授けてくださる
コンサルタントの【小柳剛照先生のブログ】が
Yahoo!ブログランキングで全国トップになりました。
私は、本好きでもあるのですが、
すごく大切な本3冊の1つが
小柳先生の【店つくり】という本です。
ランキングトップを機に
是非、このブログも書籍化して欲しいです。
本になったら、大切な友人にプレゼントします。
最近の小柳先生のブログより。
【福島の桃を食う】
旬の桃を買いに郊外へ。
福島市にはフルーツラインといって、
果物直売所がずらりと並ぶ道路がある。
でもわが家が行くのは、フルーツラインから
脇道に入った『梨幸園』という直売所。
ここは知り合いの店なので、安心して買えるのだ。
ちなみに、例年、観光バスが
行き交うフルーツラインには、
大型バスの姿はほとんど見られなかった。
風評被害が、もろに現れたものだろう。
でも、『梨幸園』店主の菅野さんは、
風評被害の大きさを嘆きながらも、
元気に頑張っていた。
我々消費者は、こういう時だからこそ、
地元の農産物を買うことが、
何よりの農業支援になるはず。
これからも梨などを買いに、
何度か足を運ぶことになるだろう。
放射能が恐いからといって、
福島県産のものを食べない人もいる。
もちろん、その心情はよく分かる。
ただ、専門家たちが安全を
保証している農産物まで敬遠するのは、
放射能というオバケが恐くて、
ちゃんと見つめることもなく、キャーキャー騒いで
逃げまわっているような印象を受ける。
「これは大丈夫なんですよ。
検査していますから安心して食べてください」
「うっそー! そんなこと言って、
ほんとうは危ないんじゃないの?!」
という人が増えれば増えるほど、
安全なものまで売れなくなり、
震災、津波の被害を受けなかった地域まで、
震災、津波以上の被害を受けることになる。
国の対策の遅れは、みんな非難するけど、
風評被害という実態のない加害者は、
どのように糾弾すればいいのだろうか?
東電批判や、放射能への不安を語るのはかまわない。
でも、基準値以下の農産物まで危険視扱いするのは、
被災地の復興を足引っ張りすることに
なりかねないと思う。
だからわが家は、安全と言われた
地元産品は食べ続ける、と宣言します。
ということで、『梨幸園』から買ってきた桃は、
実に美味だった。
もちろん、検査すれば数マイクロシーベルトは
検出されるはずだけど、
自然界には放射能にかぎらず、
有害物質はどこからも検出される。
それらを、「わずかの不安も許せない」と、
とことん気にするか、
「一生食べても大丈夫なら、まあいいか」と許容するか。
それは、人それぞれの判断だけど、
私は言うまでもなく後者です。